経年劣化したタゲレオタイプ写真の中に潜む神秘の幽霊たち
ダゲレオタイプとは、今から約180年前、世界初の実用化に成功した写真撮影法である。1839年にフランスの写真家、ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールによって発明された。日本では銀板写真とも呼ばれている。
撮影方法は銀メッキした薄い銅板を感光させて被写体の像をとらえる。一枚の写真を撮るのにかなりの時間がかかるため、画像がぶれないように、被写体はそのままの姿勢でじっと動かずにいなくてはならない。
銀板を水銀蒸気にさらすことで、画像を可視化することができる。できあがった写真は化学薬品で定着させ、洗浄して、ガラスで固定する。
残念ながら、ダゲレオタイプの写真は、疵がつきやすく、定着作業が安定しないので、手を触れたり、月日を経ることで劣化してしまうことが多い。
そのため、現存している写真は得も言われぬ雰囲気を醸し出しており、まるで幽霊が潜んでいるかのようにも見える。