旧石器捏造事件
旧石器捏造事件(きゅうせっきねつぞうじけん)とは、日本の前期・中期旧石器時代の遺物(石器)や遺跡とされていたものが、それらの発掘調査に携わっていたアマチュア考古学研究家の藤村新一が事前に埋設しておいた石器を自ら掘り出すことで発見したように見せていた自作自演の捏造であることが2000年(平成12年)に発覚した事件である。
発見効率のあまりの良さや発見の様態が不自然であるとする意見、藤村をはじめとする東北旧石器文化研究所の「業績」への疑義等は元からあったが、学会では少数派であり、考古学界はこうした意見をほとんど軽視、または傍観してきた。藤村が所属する団体の調査結果に疑念を抱く考古学関係者もいたが、そのことを指摘する人は少なかった。
発掘現場での藤村の不審な行動に疑念を持った人からの情報提供に基づき、毎日新聞北海道支社がチームを編成しての取材に着手した。発掘の現場に張り込みを行い、藤村があらかじめ石器を遺跡に埋め込み仕込んでいる様子の写真・ビデオ撮影に成功した。その後、本人への直接の取材と捏造の確認を経て、2000年11月5日の朝刊で報じた。それが発端となり、それまでの業績のほとんどが捏造であることが判明し、日本からは確実といえる前期・中期旧石器時代の遺跡が消滅した。このため、過去四半世紀に及ぶ日本の前期・中期旧石器時代研究のほとんどが価値を失い、周知の遺跡(埋蔵文化財包蔵地)の抹消・検定済教科書の書き直しなど、多大な影響が生じた。彼が捏造にかかわった遺跡は宮城県が中心であるが、調査の指導などで呼ばれた北海道から関東地方まで広い範囲で捏造を行っていた。
藤村に対する告発も検討されたが、現行法では罪に問うのは難しいとして見送られた。2003年(平成15年)に福岡県の考古学者が偽計業務妨害の疑いで告発したが、仙台地方検察庁は証拠不十分として不起訴処分にした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/旧石器捏造事件
https://ja.wikipedia.org/wiki/藤村新一#旧石器捏造事件