人食い人種
人食い人種(ひとくいじんしゅ)とは、飢餓などの特別な理由が無く人間を食料として食べる習慣や文化を持つ民族を指す言葉である。犯罪や飢餓時のやむを得ない事情などで個人的に食人を行った者は、20世紀になってもヨーロッパや日本などの全世界の諸地域で続出しているが、考慮にいれない。
実際にポリネシア文明圏では食人文化が確認されている。 18世紀にはヨーロッパ各国の宣教師が南洋諸島の島々へ送られたが、現地人に殺されて食べられると言う被害が相次いでいたほどである。彼等の記録によれば「白人の人肉は煮ても焼いても、ポリネシア人より不味い」そうである。
18世紀のイロマンゴ島では部族同士で殺し合い、食い合い、家畜としての人間の飼育が行われていたとの記録があり、欧米の商人が島の白檀を手に入れるために他所からさらってきた人間を代価として渡したと言う記録もある。 現在のイロマンゴ島では宣教師を食べた天罰で島の人口が減っていると信じられている。 観光客や取材に「自分の先祖は宣教師を食べた」と公言する住民もいる。
19世紀になると南洋諸島が欧米の植民地と化したことによりポリネシア文化が破壊され、西洋の法制度が施政されたこともあり食人文化は現在では絶滅している。
もっとも、古代ではいずれの人間社会でも、コミュニケーション不可能な人間に対して尊厳を持つことは困難であることから、家畜と同様に、奴隷化と同時に食人行為を行っていたことが自然であったと考えられる。大森貝塚でも、住民の墓地とは別に、貝殻捨て場には獣畜と同様に細かく砕いた人骨が発見されていることから、食人行為が自然に行われていたものと推測される。ヨーロッパ最初期の遺跡であるアタプエルカでも、食人行為の痕跡が残っている。この古代のヨーロッパ人は、宗教的儀式や食料不足とは無関係に、敵対する相手を殺し、その肉を食べたと言われている。
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